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2012年5月 3日 (木)

【アメリカアフタースクール視察】まとめ

(報告者)
放課後NPOアフタースクール 代表理事:平岩 国泰 事務局長:上原 惇

<日時>
2012年4月24日(火)~5月1日(火)

<都市>
アメリカ:ロサンゼルス~ボストン~ニューヨーク

<訪問先>
現地小学校:4校
現地団体:6団体
・LA's BEST
・Boston After School & Beyond
・Boys & Girls Clubs of America
・PEAR
・NYC Department of Youth and Community Development
・Harvard University (Dr. Gil G. Noam)

<内容>
・アフタースクール現場視察
・アフタースクール運営団体とのディスカッション
・日米での団体間アライアンス構築


【アメリカの小学校のアフタースクールについて】

(時間)・・・代表的な事例
14:30 授業終了
14:30~14:45 サインイン
14:45~15:30 宿題タイム
15:30~15:45 おやつ
15:45~17:45 プログラム
17:45~18:00 保護者迎えによる下校

*火曜日は13:30に終了し、プログラム時間が長くなる
*ダンス大会、サッカー大会など、週末のプログラムも多々あり

 
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(プログラム内容)
・言語-読み聞かせ
・算数-塗り絵を通じたパターンの習得
・理科-化学、天気
・社会-レゴ、お買いものゲーム
・スポーツーバスケット、テニス、サッカー、ダンス
・音楽-ギター
・アート-ペインティング
・コミュニケーション
・レクリエーション-ゲーム
・コンピューター
・栄養学
・料理
・その他


*学年別に分かれている
*各プログラムは10~30名
*プログラムは曜日ごとに決まっている
*週に1回のものや2回のものなど、頻度はプログラム毎に異なる
*プログラムは子どもや保護者の要望にも応じて作られる
*プログラムは月ごとに新しくなり、人気のプログラムは次月も継続される
*週末の大会に向けて練習に励む場合もある

・言語

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・算数

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・レゴ

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・商売

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・化学

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・天気

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・サッカー

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・ダンス

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・栄養学

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・劇

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(スタッフ)
・スタッフがプログラムの講師となる(企業など外部講師の場合もある)
・人数はトータルで10名以上
・20代が多い
・昼間は大学に通い、昼過ぎにスタッフとして参加する学生も多い
・パートタイムとボランティアの両輪で運営
・外部の団体とコラボレーションしている場合もあり
(例:地域の団体によるバスケット、テニスプログラム)


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【アフタースクール運営における重要なポイント】

①活動が多様であること
アメリカのアフタースクールでは、毎日10以上のプログラムが展開されています。
内容や場所も多彩で、学校全体を使って各地でプログラムが行われていて、
ずっと回ってみていくと大変楽しいものでした。

そして多彩であると同時に子どもたちがそれを選択できる点を
重視していました。
アクティブに活動したい子、ゆっくりしたい子、勉強を追いつきたい子、
それぞれの過ごし方が選択できる幅の広さがありました。
そのせいでしょうか、
プログラム中の子どもたちは大変集中していました。
日本の子どもたちより、ずっと集中度が高かったのは印象的でした。

また各プログラムは、
専門的なもの(ダンス、ギターetc)から
日常的なもの(栄養学、コミュニケーションetc)までありました。
専門的なものはプロが教え、
日常的なものはスタッフが担当していました。


②スタッフが充実していること
多様な活動を支えるのはスタッフです。
どこの学校を見ても、非常に熱心に活動しているスタッフがいました。

子どもたちの多様な過ごし方を支えるためには、
多数のスタッフが必要です。
各校で10人以上のアフタースクールスタッフがいるのが基本でした。

各団体にヒアリングしてみても、
スタッフのトレーニングに力を入れているとのこと。
プログラムだけでなく、日常の子どもたちとの接し方や集中のさせ方など、
高いレベルで実現しようという意欲がみなぎっていました。


③学校との連携をとっていること
学校との連携も各地で聞かれました。

アフタースクールで学んだことが、
学校の勉強でも必ず活かされる点を、
皆が意識していましたし、実際の学校の先生もそれにとても期待を寄せていました。

子どもの中には、学校の勉強で躓いてしまい、
アフタースクールだけに通うようになった子もいて、
そういう子もケアされて、徐々に学校にも戻っていくケースもあるそうです。

学校の勉強を尊重し、その上で、
学校や家庭では体験できないことをプログラムとして実施する、
そしてそれが実は学校の勉強にも活きてくる、
この好循環を非常に意識して、プログラムが設計されていました。

【日米団体間のアライアンス】

各都市で代表的な4団体とアライアンスを結びました。


・LA's BEST(ロサンゼルス)

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・Boston After School & Beyond(ボストン)

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・PEAR(ボストン)

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・NYC Department of Youth and Community Development(ニューヨーク)

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・Harvard University (Dr. Gil G. Noam)
 
ギル・ノーム教授にはアドバイザーを快諾いただきました。

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【考察:日本への示唆】

「アフタースクールを通じて、市民全体で子どもたちの教育を!」

<アメリカのアフタースクールの目的>
アメリカのアフタースクールは、
基本的に課題を抱えた子が多いエリアで優先して行われています。

アフタースクールの主たる目的は、
 ・子どもたちの安全を守ること
 ・子どもがドロップアウトするのを防ぐこと
 ・子どもが自分自身を認め、将来の夢や希望を見つけること

このようになると思います。

アメリカの子どもたちは色々な難しい背景の子どもたちがいて、
これを学校や家庭だけで解決していくのは非常に難しく、
ここにアフタースクールの力が大きく寄与しています。

NYで団体を率いていたDARRYL氏も、
まさにアフタースクールに人生を救われて、
今はアフタースクールを子どもたちに届けることを仕事にされています。

日本では、アメリカほど目に見えて貧困や家庭問題、
また学習困難な状況などが語られることはありません。
しかし、統計的に見ると日本にもかなりの数の子が何かしらの困難を抱えています。
また、一見問題ないように見えても、
やる気が出ない、内向き、将来に夢がない、引きこもりがち、
など手をさしのべてあげたい子どももたくさんいます。

アメリカでお会いした皆さんに同様の質問をしました。
もっとも多かった答えが以下です。

(小学生の時にしておくべきことは?)
・多様な体験をする
・大人との関係性を構築し始める
・リーダーシップをとる体験をする

(小学生の時にしておかないべきことは?)
・机にかじりついてばかりいる
・部屋にこもって1人でゲームをする
・何もしない


日本でもアフタースクールが子どもたちに寄与できる点は大変大きいと感じました。


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<NPOがアフタースクールを運営する意義>

日本では、
行政や株式会社や様々な組織がアフタースクールを運営している点を
アメリカで話しました。
そしてNPOがアフタースクールを運営する意義についても尋ねました。

その答えは
・NPO自身でファンドレイジングできること
・枠にとらわれない自由な活動ができること
・様々な人の協力を得やすくなり、社会の力を巻き込みやすくなること

でありました。

アフタースクールは、
社会全体の力を子どもたちに注ぎ込むことが重要です。
そのために皆が動き出したときの受け皿が必要です。
それの最適な組織がNPOであるのです。

活動には、直接参加する人もいます、あるいは資金を提供する人もいます、
「子どもたちのために何かしてあげたい」という気持ちが集まってきます。
その時の受け皿は、
柔軟で透明性があって非営利の団体でなければいけません、
これがNPOが最適である所以なのです。


しかし、アメリカでもNPOが主導してアフタースクールを
展開しているのではありません。
主導は「市長である」という答えがほとんどでした。
市長が主導して、行政から資金を投入して活動の基盤を作っているのです。
そして、同時に学校との連携をはかっているのです。

日本はまだまだ学校と放課後が分離されている状態が続いています。
これは絶対にいいことではありません。

アメリカで
日本の厚生労働省の「学童保育」と文部科学省の「放課後子ども教室推進事業」の
説明に四苦八苦しました。


・首長主導で
・NPOが自由度高く運営し
・学校と連携しながらアフタースクールを展開する

これが私がアメリカに見た、勝利の方程式です。


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<まとめ>

アメリカでは残念ながら、
「教師の質は高くない」という意見を多く聞きました。
また貧困、犯罪等の社会問題も深刻です。
しかし、そのせいで、
「市民全体で教育を支えよう!」という大きな機運が生まれ、
アフタースクールの加速度的展開に結びつきました。

ひとたび動き出せば多くの力が集まる、
これはやはり子どもたちの持つ魅力なのだと思います。
「子どもたちのために何かしてあげたい、でもどうしたらいいか分からない」
このように考えている人が相当数いるのです。

日本はどうでしょうか?
市民の力がアメリカだけにあるのでしょうか?
子どもたちを思う気持ちがないのでしょうか?

私にはそうは思えません。
日本こそ、
膨大な市民力と教育力をもった大人たちが数多く存在する
「世界有数の大人大国」だと私は考えています。

それを今こそ子どもたちの教育に注ぎ込むべき時期です。

アフタースクールを通じて、NPOがその受け皿になって、
「社会全体で子どもを育てること」
本気で始めるべき時期に来ています。

私たちは、今回での視察を機に、
そのような「新:アフタースクール」を展開することを決意しました。
まずは少数の学校で成功事例を作り、
それを日本全国に展開したいと思っています。

皆さん、一緒にやりましょう!
子どもたちが待っています!!

放課後NPOアフタースクール
平岩 国泰
上原 惇


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(番外編:私たちも折り紙プログラムの先生になってまいりました!)

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